2014年10月12日日曜日

ドゥルーズ&ガタリ『哲学とは何か』読書会 第二十一回

読書会のお知らせです。
*読書会にご参加いただくには事前に登録が必要です。

日時:10月17日(金曜日) 18時30分-21時
場所: 原宿某所 
(財津理訳、河出書房新社、2012年)
範囲:第一部第四章「哲学地理」182-196頁
           第二部第五章「ファンクティヴと概念」199-?頁
担当:大久保

ここのところのペースを鑑みると、
ようやく今回で「哲学地理」を読み終わることができそうです。
長い旅でした...。

内容については、これまでの繰り返しになりますが、
まず、人権を謳う現代の民主主義国家が、
世界市場を通して独裁国家や全体主義国家と共犯関係にあると
批判されます。

そして、未来の民衆に呼びかけることが
哲学の本領であるとされ、
ハイデガーのナチへのコミットメントについても
この観点から考察されます。

最後に、ペギーやニーチェ、フーコーを参照しつつ、
「出来事」概念が「歴史」概念との対比で
改めて彫琢され、出来事としての革命の可能性が
暗に示されてこの章は閉じられます。

第二部第五章「ファンクティヴと概念」冒頭では、
科学の対象である「ファンクション」が
概念と対比されながら定義されます。

「哲学地理」を読み終わったところで、
第一部「哲学」全体について軽く議論を
できればよいなと思います。

2014年9月14日日曜日

ドゥルーズ&ガタリ『哲学とは何か』読書会 第二十回

読書会のお知らせです。
*読書会にご参加いただくには事前に登録が必要です。

日時:9月19日(金曜日) 18時30分-21時
場所: 原宿某所 
(財津理訳、河出書房新社、2012年)
範囲:第一部第四章「哲学地理」176-196頁
担当:大久保

遅々として進まない読解ですが、
今回も「哲学地理」の最終部分を読みます。
果たして今回でこの章を読み終わることができるかどうか...。

まず、「哲学地理」という章名の由来ともなっている、
西欧各国における哲学の違いが論じられた箇所を読みます。
哲学史の知識が要求される箇所ですが、
できるかぎりパラフレーズしながら読めるように準備したいと
思います。

次に、今日、哲学が展開されている民主主義国家が
資本主義と共犯関係にあることが強く批判され、
民衆に呼びかけることこそが哲学の本領であることが
強調されます。

最後の「例9」では、彼らの「出来事」概念が
ニーチェやフーコー、さらには革命と関連して
考察されます。

もし可能ならば、第二部である次章「ファンクティブと概念」の
冒頭だけでも読んで、D&Gの考える科学と哲学の違いに
少し触れられればと思います。

2014年8月7日木曜日

ドゥルーズ&ガタリ『哲学とは何か』読書会 第十九回

読書会のお知らせです。
*読書会にご参加いただくには事前に登録が必要です。

日時:8月13日(水曜日) 18時30分-21時
場所: 原宿某所 
(財津理訳、河出書房新社、2012年)
範囲:第一部第四章「哲学地理」169-196?頁
担当:大久保

今回は「哲学地理」の章の最終部分を読みます。
古代ギリシアから現代へと舞台は移り、
哲学は資本主義や国家に抵抗する営みとして考察されます。
哲学は、資本主義の相対的脱領土化を、ユートピアを介して
思考上の絶対的な脱領土化へともたらすことによって、
現在に対して批判的な立場に立ち、
これによって哲学は政治哲学へと変貌すると
D&Gは説きます。

こうした立場を基調として、
ユートピアや革命の問題、西洋各国における哲学のあり方の違い、
人権の哲学への批判的考察など、さまざまな論点が扱われます。
また、アガンベンの『ホモ・サケル』でも参照された、
プリモ・レヴィがここでも特権的な参照項として
扱われていることにも注目すべきでしょう。
アウシュビッツの後、そして共産主義革命の挫折の後、
どのようにして哲学はラディカルであり続けられるか、
D&Gの最後の立場表明とも言えるテクストです。

果たして本章の最後まで読みきれるか今回は微妙なところですが、
できるだけ進めたいと思います。

2014年7月17日木曜日

ドゥルーズ&ガタリ『哲学とは何か』読書会 第十八回

直前になりますが、読書会のお知らせです。
*読書会にご参加いただくには事前に登録が必要です。

日時:7月18日(金曜日) 18時30分-21時
場所: 学習院大学 
(財津理訳、河出書房新社、2012年)
範囲:第一部第四章「哲学地理」 162-173?頁
担当:大久保

今回も学習院大学の一室をお借りして
行います。

今回も「哲学地理」の続きです。
前回の範囲では、古代ギリシアにおける哲学の発生が
ギリシア社会の相対的脱領土化と
哲学者の思考の絶対的脱領土化との出会いとして語られ、
それとは対照的に哲学の発生を必然とする立場の
ヘーゲルとハイデガーが批判されました。

今回は、ヘーゲルとハイデガーへの批判を復習したのち、
近代の国民国家における哲学の存在が、
資本主義による相対的脱領土化との関係で論じられる箇所を
読みたいと思います。
これ以降、資本主義や国家を暗黙に肯定する現在の哲学に対して
強烈な批判が加えられていきます。
ユートピアあるいはエレホンの視点から
現在へと向けられる批判はどのようなものか。
一緒に読み進めながら明らかにできればと思います。

もし時間の余裕があれば、
この前のカンファレンスでの僕の発表も
少し紹介できればと思います。
まさに今回の範囲に関わる発表でしたので。


2014年6月16日月曜日

ドゥルーズ&ガタリ『哲学とは何か』読書会 第十七回

読書会のお知らせです。
*読書会にご参加いただくには事前に登録が必要です。

日時:6月20日(金曜日) 18時30分-21時
場所: 学習院大学 
(財津理訳、河出書房新社、2012年)
範囲:第一部第四章「哲学地理」 154-169頁
担当:大久保

今回も学習院大学の一室をお借りして
行います。

今回は「哲学地理」の続きです。
まず、形象と概念の違いを確認することで
超越的脱領土化と内在的脱領土化の違い、
宗教と哲学の違いを明らかにした上で、
ギリシアにおける哲学の発生が
相対的脱領土化と絶対的脱領土化の出会いとして
語られます。
このへんは前回ご紹介したとおりです。

ギリシアにおける哲学の発生を必然として語る
ヘーゲルとハイデガーに対して、
D&Gがこの発生を偶然として、恩寵として語るとき、
そこに何が賭けられているのか、
明らかにするあたりで今回は終わりになりそうです。
もし可能なら、近代以降の資本主義の誕生と
哲学の関係を少し見てみたいと思います。

2014年5月13日火曜日

ドゥルーズ&ガタリ『哲学とは何か』読書会 第十六回

読書会のお知らせです。
*読書会にご参加いただくには事前に登録が必要です。

日時:5月16日(金曜日) 18時30分-21時
場所: 学習院大学 
(財津理訳、河出書房新社、2012年)
範囲:第一部第四章「哲学地理」 149-166頁
担当:大久保

今回も学習院大学の一室をお借りして
行います。

前回からようやく「哲学地理」の章に入ることができました。
帝国国家とポリスという二つの政治体に
超越的脱領土化と内在的脱領土化の運動をそれぞれ見て、
古代ギリシアの哲学は、
ポリスにおける相対的脱領土化と思考の絶対的脱領土化の出会いから
誕生したと語るのが今回の範囲になります。
それと合わせて、ヘーゲルやハイデガーの哲学史観が
批判されることになります。
哲学の誕生は必然ではなく、偶然であり恩寵であったというのが
ドゥルーズ&ガタリの考えです。
また、形象と概念の違いも今回の範囲のポイントになりそうです。

2014年4月20日日曜日

ドゥルーズ&ガタリ『哲学とは何か』読書会 第十五回

読書会のお知らせです。
*読書会にご参加いただくには事前に登録が必要です。

日時:4月25日(金曜日) 18時30分-21時
場所: 学習院大学 
範囲:第一部第三章「概念的人物」 138-147頁
                  第四章「哲学地理」 148-?頁
担当:大久保

今回は、学習院大学の一室をお借りして行います。

遅々として進まない読解ですが、
今回こそ「概念的人物」の章を読み終わり、
「哲学地理」の章に移りたいと思います。
前回レジュメなしで読み進めた部分を
改めてレジュメとともに読みたいと思います。

前回の案内に付け加えるとすれば、
「哲学地理géophilosophie」の章では、
これまでのD&Gの著作でも問題となっていた
「領土化」や「大地」が、哲学の誕生と結びつけられます。
超越的な脱領土化の運動をそなえる帝国が宗教を切り離しえないのに対し、
水平的・内在的な脱領土化の運動が展開される古代ギリシアは
哲学の誕生の地となった。ではそれはどのようにしてか?
領土化の観点から思考をとらえることが本章の主題と言えそうです。


2014年3月12日水曜日

ドゥルーズ&ガタリ『哲学とは何か』読書会 第十四回

直前になりますが、読書会のお知らせです。
*読書会にご参加いただくには事前に登録が必要です。

日時:3月14日(水曜日) 18時30分-21時
場所: 都内某所
範囲:第一部第三章「概念的人物」 135-147頁
      第四章「哲学地理」 148-?頁
担当:大久保

今回も、諸般の事情により、場所については
登録している方のみにお知らせします。

今月から金曜日に読書会を開催することに変更しました。
月の第何週かはまだ確定できていません。
これに関してはもう少しお待ちください。

今回は、まず「概念的人物」の最後の部分を読みます。
概念、内在平面、概念的人物の相互の関係を規定した上で、
D&Gは、オピニオンから普遍的な知を引き出そうとする伝統的な哲学とは異なる、
彼らなりの哲学像を示します。
それは、一種の構築主義であり、問題に対する答えよりも
問題自体の斬新さ、面白さを重視する哲学と言えるでしょう。

そして、もし時間が許せば、次章「哲学地理」の冒頭だけでも
読みたいと思います。
この章では、D&Gのこれ以前の著作で展開されてきた
歴史分析に哲学の問題が接続されることになります。
国家や資本主義と哲学はいかなる関係にあるのか。
冷戦終結直後に書かれたこの本が与える展望は
現代のわれわれにとっても意味深いものがありそうです。

2014年2月16日日曜日

ドゥルーズ&ガタリ 『哲学とは何か』 「内在平面」 レジュメ

ドゥルーズ&ガタリ『哲学とは何か』(財津理訳、河出書房新社、2012年)の
第一部第二章「内在平面」のレジュメを公開します。
Web上の閲覧ではうまく表示されない場合があるようです。
その場合はダウンロードしてみて下さい。

内在平面は、ドゥルーズ哲学(とりわけ後期の)の要とも言える考えです。
それは、それぞれの哲学が暗黙のうちに前提している、直観的なイメージと
ひとまず言えます。
『差異と反復』において「思考のイメージ」と呼ばれていたものに対応していると
考えられます。
そして、カント哲学において「理性」が描く「理念」のように、
無限の場として構想されている点も特徴的でしょう。
この場のうちに概念たちが棲みつくとドゥルーズは考えています。

また、「平面」にわざわざ「内在」と形容が付されているのは、
「超越」への対抗がつねに意識されているためです。
『哲学とはなにか』の裏のテーマのひとつは、
「超越」批判であるとさえ言えそうです。

とりあえずの解題はこんなところで。
非常に難しい章ですが、このレジュメが読解の一助になれば幸いです。

ドゥルーズ&ガタリ『哲学とは何か』読書会 第十三回


読書会のお知らせです。
*読書会にご参加いただくには事前に登録が必要です。

日時:2月19日(水曜日) 18時30分-21時
場所: 原宿某所
範囲:第一部「哲学」 第三章「概念的人物」129-138?頁
担当:大久保

今回も、諸般の事情により、場所については
登録している方のみにお知らせします。

今回も「概念的人物」の章の続きです。
超越と内在について改めて論じる注に引き続いて、
概念的人物とその他の二つの要素、
すなわち概念創造と内在平面との関係が論じられます。
これでようやく、ドゥルーズ&ガタリの言う
「哲学」の全貌が少しずつ見えてきそうです。
これら三つの審級相互の「対応の規則」が
「趣味」と呼ばれます(136頁)。

「趣味」という言葉はすでに序論に見られますが(18頁)、
彼らの経験論的立場がこうした言葉の選択にも
表れていますね。

本章最後の「オピニオン」論(139頁あたりから)の
入り口まで今回たどり着ければよいと思います。

2014年1月20日月曜日

ドゥルーズ&ガタリ『哲学とは何か』読書会 第十二回

読書会のお知らせです。
*読書会にご参加いただくには事前に登録が必要です。

日時:1月22日(水曜日) 18時30分-21時
場所: 原宿某所
範囲:第一部「哲学」 第三章「概念的人物」118-135?頁
担当:大久保

前回は忘年会も兼ねて私邸で開いたので、
クローズドで行いました。
今回も、諸般の事情により、場所については
登録している方のみにお知らせします。

今回は、「概念的人物」の章の続きです。
概念的人物のリストが挙げられたあとで、
概念的人物と内在平面、概念創造の関係が
語られるところぐらいまでが今回の範囲になるでしょうか。

カントになぞらえて、平面の描写を理性に、
人物の発明を想像力に、概念創造を悟性に
帰し、これら相互の調整を「趣味」と呼ぶあたり(135頁)で
ようやく本書における哲学の像が見えてきそうです。
お楽しみに。