2017年10月19日木曜日

『シネマ』読書会 第9回

読書会のお知らせです。

日時:10月25日(水曜日)18時30分-21時
場所: 都内某所
テクスト:ジル・ドゥルーズ『シネマ1』
(財津理・齋藤範訳、法政大学出版局、2008年)
範囲: 第5章「知覚イメージ」第一節
担当: 127-132頁 乙部
    133-137頁 谷口

今回から第5章「知覚イメージ」に入ります。

振り返っておくと、第4章では、ベルクソンの哲学を注釈しながら、
知覚イメージ・行動イメージ・感情イメージが導出されました。
世界がイメージ(いわゆる「物」のことだと思ってもらってもかまわないでしょう)から
なると仮定した上で、
生物のような特殊なイメージが、みずからの関心や必要に応じて、
受ける刺激を限定する(「引き算する」)、その作用のことが
「知覚イメージ」と呼ばれていました。

これに対して、今回の第5章では、映画から出発して、
まず、主観イメージと客観イメージが分けられるのかという問いが立てられます。
そして、パゾリーニやバフチンの「自由間接話法」の概念を援用しながら、
主観でも客観でもない、いわば「カメラ・アイ」でしか捉えられない
「半主観」のステータスが、アントニオーニやゴダール、ロメールを参照しながら
描き出されます。
この「半主観」はおそらく第4章でいう「光のイメージ」でしょう
(つまり、第4章と第5章では導出の方向が反対になっていますね)。

第5章第2節では、
主観からこのような「半主観」あるいは「光のイメージ」への移行の問題が、
フランス戦前派の水のイメージをもとにして論じられることになります。

今回の範囲は、いろいろな巨匠の作品が参照されていますので、
できるだけ見ながら進められたらいいですね。
特に「半主観」がどんな感じなのかは共有したいところです。