2019年5月14日火曜日

『シネマ』読書会 第27回

直前のお知らせになりますが、読書会のご案内です。

日時:5月15日(水曜日)18時30分-21時
場所: 都内某所
テクスト:『シネマ2』(宇野邦一他訳、法政大学出版局、2006年)
範囲と担当: 第1章「運動イメージを超えて」第一・二節(7頁?–?)上田

今回からいよいよ『シネマ』第二巻の読解に本格的に入ります。

第1章第一節は、第1巻の最終章から引き続き、
イタリアのネオ・レアリズモの分析に主にあてられます。
バザンなどの先行研究を踏まえつつ、ネオ・レアリズモの特徴が、
純粋な光学的・音声的イメージの出現にあるとされます。
感覚–運動の回路が失調し、登場人物が一種の観客になる事態です。

ここでは記号も新たなものとなり、光記号と音記号が問題となります。
そして、この新たな記号の観点からは、
ネオ・レアリズモに見出されるさまざまな対立
(主観的と客観的、ありふれたものと限界的状況等々)が相対的なものにすぎず、
こうした対立項が互いに識別不可能なものになるとされます。

第一節最後の三分の一ほどは、ヌーヴェル・ヴァーグ(ゴダール、リヴェット)や、
ブレッソンなどフランスの映画作家が、同様の観点から分析されます。

第二節は、小津映画の分析にほぼ捧げられます。
基本的にはネオ・レアリズモと同じような特徴が小津にも見出されていきますが、
最終的に、静物のイメージの分析から、
第2巻のテーマでもある時間イメージが取り出されていきます。